本稿では、卒論・修論の本文についてよくある修正項目を紹介します。
本記事は、シリーズ記事<卒論・修論でよくある修正項目>の1つです。
本シリーズは、以下の記事にまとめていますので適宜ご確認ください。
卒論や修論のフォーマットは、大学・学部・学科によって異なります。
ここで紹介する内容は、著者が所属していた研究室のフォーマットを基本にしていますので、執筆にあたっては所属研究室のフォーマットを確認し、それに準拠してください。
言語が統一されていない
全体を通して使用言語は統一する必要があります。
ある章は日本語、別の章は英語といった記載は不適切です。
例外1 図表・数式
図表とそのキャプション、数式については本文と異なる言語で記載しても問題ありません。
ただし、それぞれで使用言語は統一する必要があります。
例えば、図1のキャプションは日本語、図2のキャプションは英語といった記載は不適切です。
例外2
専門用語や人名は慣習等に合わせて欧文で記載しても問題ありません。
ただし、それぞれで使用言語は統一する必要があります。
例えば、以下のような文章は不適切です。
【例1】
Hookeの法則によると、・・・となる。・・・。フックの法則より、・・・であることが分かる。
【例2】
Einsteinは、・・・を行った。・・・。ニュートンが行った・・・によると、・・・である。
略語がスペルアウトされていない
全ての略語は本文中で最初に記載するときに、一度スペルアウト(略さず記載する)する必要があります。
これは、著者と読者の認識の違いによる誤解を避けるために必要となります。
専門分野で広く利用されている略称についても、必ず一度スペルアウトするようにしましょう。
修正前:TEMを用いて測定した。
修正例1: TEM (Transmission electron microscope)を用いて測定した。
修正例2: TEM (透過型電子顕微鏡)を用いて測定した。
修正例3: 透過型電子顕微鏡 (TEM)を用いて測定した。
単位系が統一されていない
論文全体で用いる単位系は統一する必要があります。
図表等も含めて、複数の単位系を混在させないように注意しましょう。
単位系にはSI単位系を用いるのが一般的ですが、専門分野の慣習によって別の単位系を用いる場合もあります。
単位系の選び方に迷った場合は、事前に指導教官に確認しましょう。
修正前:・・・1073 Kで熱処理した。・・・。・・・は、500 ℃で測定した。・・・
修正例1: ・・・1073 Kで熱処理した。・・・。・・・は、723 Kで測定した。・・・
修正例2: ・・・800 ℃で熱処理した。・・・。・・・は、500 ℃で測定した。・・・
修正例3: ・・・1073 Kで熱処理した。・・・。・・・は、723 K(500 ℃)で測定した。・・・
数値と単位の間にスペースがない
数値と単位の間には半角スペースを入れましょう。
なお、”%”については半角スペースは必要ありません。”20%”などと記載します。
1073K → 1073 K
30m/s → 30 m/s
30kgm/s\(^{2}\) → 30 kg m/s\(^{2}\), 30 kg m s\(^{-2}\), 30 J
単位が複雑になる場合には単位と単位の間に半角スペースを入れます。
文中で分数を2行表記する
本文中で分数を記載する場合、”1/4″のように分子と分母の行を分けず、一行で記載するようにしましょう。
分子と分母を別の行で記載すると、そこだけ行の幅が太くなり、読みにくくなります。
複雑な式など、一行で表現しきれない場合は、文章と分けて数式行にしましょう。
修正前:・・・は\(\frac{1}{2a}\)となる。
修正後:・・・は\(1/(2a)\)となる。
修正前:・・・\(x=\frac{-b \pm \sqrt{b^2-4ac}}{2a}\)となる。
修正後:・・・下式となる。
\[x=\frac{-b \pm \sqrt{b^2-4ac}}{2a}\]
剽窃がある
許可なく他者が著作権を持つ文章をコピーして自身の論文に記載すると、剽窃にあたり処罰の対象となります。
文章の一部分を変更しても剽窃に該当するため注意が必要です。
他者の文章を自身の論文に記載する場合には、著作権法で定められている「引用」の範疇に収まるように留意しましょう。
- 引用であることが分かるようにし、参照元を明記する
- 自身の文章が主、引用文が従となるように、引用分に対する自身の意見等を記載する。
計算理論や実験方法は他者と似た内容となる事も多くありますが、安易にコピー&ペーストをしないように注意しましょう。
説明されていない図表がある
本文のページに掲載した図表は、全て本文で説明する必要があります。
本文説明しない図を、論文に掲載する場合は、付録として論文の一番最後にまとめましょう。
参考文献が示されていない
本文には、適宜、参考文献を記載しましょう。
参考文献の示し方には様々な体裁があります。論文等を参考にして自身の専門分野で一般的な参考文献の記載方法を確認してください。
多くの場合、以下のように、文献に番号を付与し、本文中にその文献番号を記載する方法が用いられます。
【本文中】
・・・・が報告されている[1]。・・・・
【参考文献】
[1] 文献情報・・・・
参考文献情報の記載方法は以下を参考にして下さい。
一文が長い
一つの文章が長くなりすぎないように注意しましょう。
一文が長いと、修飾関係が複雑になり、文意が読み取りにくくなります。
主語と述語が対応していない
主語と述語がしっかりと対応するように注意しましょう。
文章を書きあげたら、主述の対応関係に注意しながら一度読み直しましょう。
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