値引きとポイント還元のどちらがお得?

お金

買い物をするとき、○○%Off(値引き)や○○%ポイント還元が適用される場合があると思います。
値引きやポイント還元は、購買意欲に大きく影響しますが、値引きとポイント還元を比較すると、どちらの方がお得なのでしょうか?

ポイント還元では利用先が限定されてしまうため、同じ還元率であれば値引きの方がお得であるというのが一つの結論です。
それ以外に、ポイントでの購入分にポイントが還元されない場合は、値引きとポイント還元で金額上の差が生じます。

本記事では、値引きとポイント還元での支払いを数式で表現し、値引きとポイント還元の差を説明します。

展開の詳細については、本ページ下部のpdfファイルをご確認ください。

値引きとポイント還元の数式表現

\(P\)円の商品の買い物で、\(100r\)%の値引きあるいはポイント還元が適用される場合を考えます。

ポイント還元では、還元されたポイントをすべて使用し商品を取得するものとし、ポイントを用いた購入分についてはポイント還元されないものとします。

支払った金額を\(C\)、入手した商品の金額の総額を\(P_{\mathrm{all}}\)とし、\(C\)と\(P^{\mathrm{all}}\)の比を\(k\)とすると、以下の関係式が成立します。

値引きの場合
$$ C_{\mathrm{d}}= \left( 1-r_{\mathrm{d}} \right) P_{\mathrm{d}} \tag{1}$$
$$ P_{\mathrm{d}}^{\mathrm{all}}=P_{\mathrm{d}} \tag{2}$$
$$ k_{\mathrm{d}}=\frac{P_{\mathrm{d}}^{\mathrm{all}}}{C_{\mathrm{d}}}=\frac{1}{1-r_{\mathrm{d}}} \tag{3}$$

ポイント還元の場合
$$ C_{\mathrm{p}}=P_{\mathrm{p}} \tag{4}$$
$$ P_{\mathrm{p}}^{\mathrm{all}}= \left( 1+r_{\mathrm{p}} \right) P_{\mathrm{p}} \tag{5}$$
$$ k_{\mathrm{p}}=\frac{P_{\mathrm{p}}^{\mathrm{all}}}{C_{\mathrm{p}}}=1+r_{\mathrm{p}} \tag{6}$$

ここで、下付き添え字のdは値引き、pはポイント還元の場合を意味します。

値引きとポイント還元の比較

Eqs. (3, 6)から\(k_{\mathrm{d}}\)と\(k_{\mathrm{p}}\)を比較すると、下図のようになります。

この図から分かるように、\(k_{\mathrm{d}} \geq k_{\mathrm{p}}\)であり、\(r\)が大きくなるにつれ、\(k_{\mathrm{d}}\)と\(k_{\mathrm{p}}\)の差が大きくなります。
つまり、値引きとポイント還元では値引きの方が得られる利益が大きく、その差は\(r\)が増加するに伴い増大します。

上記の結論を踏まえると、\(r_{\mathrm{d}}\)と\( r_{\mathrm{p}}\)を直接比較し、値引きとポイント還元のどちらが利益が大きいかを比較することはできません。
例えば、30%の値引きと40%のポイント還元では、\(r_{\mathrm{d}} < r_{\mathrm{p}}\)ですが、\(k_{\mathrm{d}} > k_{\mathrm{p}}\)となり、30%値引きの方が利益が大きくなります。

ここでは、\(r_{\mathrm{d}}\)と\( r_{\mathrm{p}}\)を比較するために、\( r_{\mathrm{p}}\)の換算を考えます。
\( r_{\mathrm{p}}\)に対して、\(k_{\mathrm{d}}=k_{\mathrm{p}}\)となる\( r_{\mathrm{d}}\)を換算還元率として\( r_{\mathrm{d p}}\)とします。
\( r_{\mathrm{d p}}\)は以下の式で与えられます。

$$ r_{\mathrm{d \ p}}=\frac{r_{\mathrm{p}}}{1+r_{\mathrm{p}}} \tag{2-1} $$

\( r_{\mathrm{p}}\)と\( r_{\mathrm{d p}}\)の関係は下図のようになります。

左記の例で述べた、40%ポイント還元の場合を考えると、対応する換算還元率は28.6%であり、30%値引きよりも割合が小さくなります。

ポイントでの購入にポイントが付与される場合

通常はポイント利用分にはポイントが還元されないことが多いと思いますが、最後にポイント利用分についてもポイントが付与される場合を考えます。
この場合を下付き添え字ppで表現すると、Eqs. (4~6)に代わり、以下の関係式が得られます。

$$ C_{\mathrm{pp}}=P_{\mathrm{pp}} \tag{3-1}$$
$$ P_{\mathrm{pp}}^{\mathrm{all}}= P_{\mathrm{pp}} + \left\{ \sum_{i=1}^{\infty}P_{\mathrm{pp}} \left( r_{\mathrm{pp}} \right) ^i \right\} \tag{3-2}$$
$$ k_{\mathrm{pp}}=\frac{P_{\mathrm{pp}}^{\mathrm{all}}}{C_{\mathrm{pp}}}=\frac{1}{1-r_{\mathrm{p}}} \tag{3-3}$$

Eq. (3-3)は、Eq. (3)と等価であり、ポイント利用分についてもポイントが付与される場合、値引きとポイント還元に数値上の差がないことが分かります。
このことから、\(k_{\mathrm{d}}\)と\(k_{\mathrm{p}}\)の差は、ポイント利用分にポイントが付与されないことに由来するものであると言えます。

詳細な式展開(PDFファイル)

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