相加平均と相乗平均
ある0以上の2つの数\(A, B\)に対して相加平均と相乗平均はそれぞれ以下のように与えられます。
【相加平均】
$$ \frac{A+B}{2}$$
【相乗平均】
$$ \sqrt{AB} $$
相加平均と相乗平均の間には以下の不等式が成立することが知られています。
$$ \frac{A+B}{2} \geq \sqrt{AB} \tag{1}$$
ただし、\(A \geq 0, B \geq 0\)であり、等号成立条件は\(A=B\)です。
この関係式は学生さんからすると、どこから現れた式なのかが分かりにくいようで、公式として暗記している方が散見されます。この関係式は案外簡単な関係式から導くことができますので、導出を押さえておきましよう。
相加相乗平均の導出
Eq. (1)の導出にあたっては、まず2つの実数\(a, b\)について\((a-b)^2\)を考えます。\((a-b)\)は実数なので2乗すると0以上の値になります。
$$ (a-b)^2 \geq 0 \tag{1.1}$$
\((a-b)^2\)を展開すると、
$$ (a-b)^2=a^2+b^2-2ab$$
となるため、Eq. (1.1)は、
$$ a^2+b^2-2ab \geq 0 $$
となります。\(2ab\)を移項すると、
$$ a^2+b^2 \geq 2ab $$
となります。さらに両辺を2で割ると、
$$ \frac{a^2+b^2}{2} \geq ab $$
が得られます。ここで、
$$ A=a^2, B=b^2 \tag{1.2}$$
とすると、
$$ \frac{A+B}{2} \geq \sqrt{A} \sqrt{B}=\sqrt{AB} $$
となり、Eq. (1)が得られます。
【\(A, B\)の条件】
Eq. (1.2)より、\(A, B\)はある実数の2乗となっているため、\(A \geq 0, B \geq 0\)という制約が課されます。
【等号成立条件】
Eq. (1.1)の等号が成立する条件を考えると、
$$ a-b=0 $$
つまり、
$$ a=b $$
であることが要請されます。Eq. (1.2)より、\(a=b\)の時は、\(A=B\)となるため、Eq. (1)の等号成立条件は\(A=B\)となります。
その他の高校生向け数学記事